東大や近畿大の教授たちが東京湾の放射能数値を調査していて、一部には高濃度のセシウムが蓄積していることは、当コラムでも取り上げてきました。わたしは東京湾最奥部の干潟・三番瀬(さんばんぜ、船橋市と市川市)の調査を市民団体と協力して10年近くしてきました。主に動植物の生存確認が中心で300種近い生存が認められます。
今年最初の調査が4月8日に行なわれ、ついでに放射能汚染が心配でしたから、機器を借りて実施してきました。
浦安市と市川市の境界に猫実(ねこざね)川という小さな人工放水路があり、この河口にカキ礁が広がっています。この周辺の泥干潟には無数の穴ジャコが生息しています。
放射能調査は、このカキ礁を中心に海水面、砂地、カキ礁の上、5cm、50cm、1メートルの3地点で行ないました。平均値で海水面は約0、01~0、02マイクロシーベルト、砂地は0、02~0、03、カキ礁も0、02~0、03マイクロシーベルトでした。
同行していた専門家によってもまったく問題ない数値とのことでしたが、狭い範囲の調査ですから安心できません。それでも、参加者からは「低い数値で安心した」「漁業関係者も心配しているから、機会あるごとに調べた方がいい」といいます。
千葉県でも手賀沼や印旛沼で高い放射能数値が出て、汚染土砂などを回収しているようですが、三番瀬に注ぐ江戸川や荒川、船橋沖に流れる海老川でも高い放射能が検知されています。
調査して魚や貝に影響しないか、漁師ばかりでなく消費者も心配ですが、もっと怖いのは風評被害です。食品の放射能検出値がきびしくなっていますが、風評による誤報、口コミは「口に戸は立てられなく」広がります。ですから、徹底的に調査して安全かどうかを公表した方がいいと思うのです。
市民調査は今後、毎月おこなわれますので随時、報告したいと思います。
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