宮城県網地島を舞台にした『離島病院奮戦記』の電子書籍版の配信が始まった。東日本大震災後の書き下ろし原稿を加えた増補版だ。
2008年に出版されてまもなく、「最高の医療で恩返し」という大きな見出しとともに本書を採り上げたのは産経新聞だった。その後も各紙が掲載。TBS「水曜ノンフィクション」でも最高の地域医療と評され、著者の網小医院・安田敏明先生が特集された。
後期高齢者医療制度、急病患者のたらい回し、地域医療の破綻。不安を募らせる問題ばかりが取沙汰される現代医療の場において、網小医院のあり方がいかに注目を集めているかが伺われた。
網小医院は網地島に平成11年9月に開業。栃木県で「とちの木病院」を運営している早乙女勇院長が、廃校が決まった旧網長小学校の校舎を改装して設立した。離島の病院と言っても入院施設や手術室のほか、CT室も備える本格的な病院で、過疎の進む網地島の年老いた島民たちに安心を提供している。
赤字覚悟で病院を建てた早乙女院長、島民のために日々奮戦し続ける安田先生。すべては島で一生を過ごしたいと願う島民の思いのために、網小医院は立っている。人のあり方次第で、最高の地域医療は生まれることを知らされた。
安田先生は現在、拠点を仙台に移し、網地島への外来診療を続けながら、東北各地の避難所の巡回診療に尽力している。今回増補した追記では、自らの震災体験、被災直後の網地島の状況や住民たちの復興への決意、そして日本の将来へ向けた思いを伝えている。ぜひ、ご一読いただきたい。
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