「もしもし、塚田さんのお宅でしようか、そちらにカズミさんという方、おいでですか」
おっ、これはオレオレ詐欺かな。ついに家にまでかかってきたか。
「はい、塚田ですが」
「あの、わたしはセンゲン小学校の同級生で……」
学校の卒業名簿を使って詐欺を働いている話はテレビでもよくやっていた。
しかし、被害者はほとんどが裕福な家を狙
われるらしい。おかしいな?
電話の主は本物の同級生だった。40年ぶりに開かれた同窓会の名簿に、わたしの連絡先は空欄だったらしい。
中学生で東京下町から千葉県に引っ越していたわたしは、その後、結婚や仕事で転居し行方不明の名簿になっていたらしい。話を聞くと、実家のあった住宅まで足を運び探してくれたものの、姉たちも結婚、独立していて手がかりがなかったという。
同級生の勝矢光信氏、彼は珍しい「一未」という名前を頼りに電話帳をめくってくれたという。ありふれた名字は頼りにならないが、カズミという字も和美、一美、一巳とたくさんある。私自身も自分の名前を見たことがない。
「意外と簡単に見つかった」
勝矢氏の淡淡とした電話に感謝したが、このときばかりは命名してくれた親にも感謝したのだった。
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